漆器に添付されている取扱声明書には「漆器は、柔らかな布を使ってぬるま湯で洗い、すぐに乾いた布で水分をふき取ってください」と書かれております。確かにその通りですが、これは年に数回位しか使わない漆器に対する保存方法です。日常使いの漆器製品(椀・盆・皿・箸など)は、それほど気を使うことはありません。 時々、椀や皿に食べ物やご飯がついてしまう場合がありますが、洗う前に椀の中に水をはるか、水に少しつけておけば何の問題もありません。 その程度ですぐに漆が剥がれてしまう漆器はどこかで手を抜いて作られた塗物です。しっかり乾燥した木材を使い、確かな技術と本漆で制作された漆器なら簡単に剥がれたり壊れたりしないものです。しかし、使用後、何時間も水につけっぱなしにして良いと言うものでもありません。急な用事で出かける場合などはとりあえず洗っておきましょう。そのまま乾いた場合、水滴の跡が残りますが品質上は問題ありません。 漆器は昔から高価なもので、丁寧に取り扱われてきたことは事実です。それは、弱いわけではありません。 だれでも大切なものは丁寧に扱うのは当然なのです。柔らかな布やスポンジなどで、薄めた中性洗剤で洗った後、布でふきあげれば大丈夫です。 これを怠り、長い期間しまっておきますと、カビの原因になります。もし、カビが生えていた場合は、消毒用アルコールを含ませた柔らかな布で拭き取ってから洗い直せばきれいになります。カビの生えた状態で何年も放置しておきますと、カビ根が塗膜に食いついて取れにくくなってしまうので要注意です。 漆は「自然からの贈り物」安全で安心して使用できる現代にふさわしいものです。
漆器は、中国でおよそ4,000年前に食器として使われた記録があります。 日本では、石器時代に矢じりの接着に漆が使われたものや、土器などに彩漆をほどこしたものなどが発見されています。 日本最古の漆器は北海道の南茅部町の垣ノ島B遺跡から中国の物を大幅に遡る約9,000年前の縄文時代前期の漆器が見つかっております。 又、日本最古の漆の木が発見されたのは福井県若狭町にある約12,000年前の縄文時代の遺跡『鳥浜貝塚』です。